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第32章 彩香、悲しみの中へ

「真もあっちのベッドで寝てきて」

「ここで、座って寝るから良いよ」

「じゃあ狭いけど、一緒に寝よう」

彩香は、少し横にずれた。

真は、彩香を抱き締めるように

ベッドに寝転んだ。

彩香は、安心しきって、スヤサヤ眠りについた。

真も、限界だった。瞼が重くなり

眠りについた。二人の幸せそうな寝顔を

山名夫妻は、微笑んで見つめていた。

カーテンを閉めて

二人のこれからを案じながら、

二人っきりにさせた。

山名夫妻は、黙って、ソファーに座っていた。

二人が笑顔で暮らせますように

願わずにはいられなかった。

彩香は、無意識に真に引っ付いていって、

真も、当たり前のように抱き締めていた。

二人の寝姿は、マンションでの二人のように

普通の愛し合う恋人同士だった。