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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第6章 マリアの日記・・・
俺の母親は、一度離婚している。



原因は父親の……暴力。




言葉通りの

とんだ暴力親父だった。


元々そういう男だったのか
なんかのキッカケがあって始まったのか
その辺、俺は聞いてないが



家に帰っては
暴れるのは当たり前。

ついでに酒癖がわりぃから
酒飲むと更に手がつけらんなくて


俺の母親は、もはや・・・
絶対服従って感じだった。


ひとりなら……逃げられたかもしれない。


子どもが…
俺らが…いたからだろうか。


俺と、5つ下の妹…


俺ら子どもを抱えて
実家もあまり頼れなかった母親は


逃げ出すことも出来ず

そんな地獄の苦しみに
黙って耐えていたんだ。





親父が帰ってくるといつも
母親は俺らをすぐに寝室に隠した

何が起こるか…わかってたから。


俺と妹を巻き込まないため…

俺らに…そんな父親の姿を
見せないために。

母親は、たった一人で
耐えていた。




いつしか俺は自然と…

親父が帰ってくると
妹を連れて二階の部屋に隠れるように
なっていた。


押し入れに隠れて
妹を抱っこして
妹の耳を塞ぐんだ…。



だから
まだ幼かった妹には
暴れる父親の記憶は・・・ない。

ないと……信じたい。

せめて妹にだけは
最低な親父の記憶がないことを
願ってる。




『かくれんぼだよ』

そう言って妹と押し入れに隠れて
じっと待つ…。

〃音〃がしなくなるまで
待つんだ。


それが……俺の役割。


まだガキだった俺には
それしかできなかったんだ。
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