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花菱落つ
第6章 因果応報
「越後の龍」上杉謙信は元は長尾氏の出で、平氏の流れを汲む。対する「甲斐の虎」武田信玄は甲斐源氏の嫡流だ。幾度となく行われる武田と上杉の戦いは、源平合戦を今に再現しているとも噂されていた。謙信は十二歳で初めての婚姻をした信玄とは異なり、三十四歳になる今も妻を持たずもちろん子もいない。様々な面で対照的な二人だったが、文武両道に優れていたところは同じだった。
越後を発った上杉謙信は軍を川中島へ進め、塩崎に陣を張る信玄をおびき出そうとするが、信玄は誘いに応じない。両軍はおよそ二ヶ月もの長い間見合ったまま、戦うことなく軍勢を退かせたのだった。
越後を発った上杉謙信は軍を川中島へ進め、塩崎に陣を張る信玄をおびき出そうとするが、信玄は誘いに応じない。両軍はおよそ二ヶ月もの長い間見合ったまま、戦うことなく軍勢を退かせたのだった。