この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【Onlooker】~サラが見たもの~
第3章 イケナイ、男(ひと)?
紺野の前でベッドに腰を下ろした女が――なにをして――その音を鳴らしているのか。
それはもう、サラにだってわかっていた。否、それをわかり過ぎるくらいに知らしめるため、女は唾液の交ざるそれら音と交互に、それに見合う淫らな言葉を発してゆく――。
「あん……とっても、素敵よ」
ちゅ……ちゅぽ。
「うふ、どんどん……硬くなるの……わかる」
あむ……くちゅり。
「ほら、もう……お口に入りきらない、くらいに……」
りゅぷ――つぷん。
「……」
サラは呆然としながら、それらを聞き入れていた。できることなら耳を塞ぎ、眼だって閉じてしまいたい。
だが、それをしたら自分は、この空間での存在意義を失ってしまう。だから、それだけはしたくなかった。そう思った時、ふとさっきの紺野の言葉が脳裏に浮かんだ。
『僕のこと、見ていてくれるんだよね――お嬢さん?』
そうだ。今日のクライアントは紺野涼である。サラは女のことばかり気にして、まだ彼のことをあまり見ていなかったことを省みた。
そして、さっき覚えた違和感の正体を少しでもわかろうとして、サラは目を凝らした。