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【Onlooker】~サラが見たもの~
第6章 共にする、一夜?
※ ※
その夜。紺野涼の宿泊するホテルの部屋。
そかしそれは、長峰ひかるの決断が成された、それとは異なるベッドでのこと――。
「無理を言ってしまって、悪かったね」
その上に横たわる紺野は、サラの顔を見つめそう話した。
「いいえ……」
ベッドの傍らの椅子に座り、サラはそう答えている。だが、その内心に戸惑いがないわけではなかった。
「だけど、私……どうすれば、いいのかなって……」
そう言って俯くサラに、紺野は右手を差し出す。
「手を握っていてくれない?」
「は、はい……」
サラは頷き、紺野の右手をそっと握った。
すると、紺野は落ち着いたような微笑みを浮かべ、サラを愛おしげに見た。
「もし――僕が、明日を無事に迎えることができたのなら」
「!?」
「僕はこの先の人生の全てを、サラさんに捧げてもいいと――そう思っているんだよ」
「そ、そんな……」
驚いたサラを制するようにキュッと握られた手。その温もりを確かめるよう、紺野は言った。
「僕にとって、今夜はそういう夜なんだ」