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【Onlooker】~サラが見たもの~
第12章 エピローグ
ジャリ――。
「――!」
背後で小石を踏みしめる音を耳にすると、サラはハッとしたように振り向いた。
すると――
「あ、悪い……邪魔するつもりじゃなかったんだ」
黒木俊太が髪を掻きながら、申し訳なさそうな顔を向けた。
それを受けて――
「ううん、いいの」
サラはそう言って、とても穏やかに笑った。
「俺も――いいか?」
「うん――お願い」
短い言葉を交わすと、今度は黒木と肩を並べサラは再び墓前に手を合わせた。
静かな山間にたつ墓の、辺りはとても静かであり。
目を閉じていると、小川のせせらぎや小鳥のさえずりが心地よく聴こえた。
時折やや強い風が吹き抜けて、揺れた木々の枝がざわざわと音を鳴らす。
その拍子、サラは瞳を開けて――
「あ――!」
色とりどりに染まった秋の葉が、ひらひらと宙を舞う光景に、期せずして感嘆の声を漏らした。
「きれい……」
「ああ、そうだな」
応じた声を耳にして、サラは隣に立つ黒木の顔を仰いだ。