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私は女優よ!
第5章 腐っても人間なんだよ
最初に三宅環を接見した時、魂の抜けたように、ただ息を吸って生きているような、か細くて綺麗で、それでいて芯の強そうな女だと思った。
例えるなら、童話の世界で言えば、雪女を想像させるような……
クールビューティーという言葉に当てはまる美人なのかもしれない。
気づいたら、目の前に血まみれの夫が息絶えた状態で横たわっていて自分も返り血を浴びていたと言う彼女。
ダラダラと床に流れる血が自分の足元まで流れていて、鉄の錆びたような血の匂いが部屋中に漂っていたという……
段々とぼやけた景色が鮮明となってゆくにつれ、寒くもないのに、顎や手がガタガタと震え、寒気が体中に駆け巡り、意識が戻る。
ただ、それと同時に「もう、苦しまなくていい……サヨナラ」と無意識のうちに呟いていた。
前後の記憶が曖昧となり、心神喪失状態だった可能性もあり。