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私は女優よ!
第5章 腐っても人間なんだよ
不倫に走るには、大概理由というものがある。
肯定をするわけではないが、世間では、不倫の行く末に夫を殺害した美悪女、尻軽破廉恥妻などと三宅環を呼んだ。
真壁慎吾の話を聞いていると、決してそればかりではなく、お金がないというやりきれない状況の中、自分の体を張って借金返済をしてきた女をそこまで悪い女だとは思えなかった。
借金の全てが夫の三宅友和のせいだとも言わないが、妻をそこまで追い込んでしまったのも事実だ。
愛の無くなった夫の為にそこまで出来るのだろうか?
何故、離婚を考えなかったのだろうか?
私なら、そんな生活や夫に見切りをつけ、AVに出演するまで自分を追い詰めたりしない。
そんな疑問を真壁慎吾にぶつけてみた。
「弁護士さんはさ、頭が良いからその仕事してんだろ?
仮に結婚に失敗しても、自分で生活を立て直せるんじゃね?
所詮、人間のラインみたいなもんが違うんだよ。
弁護士先生みたいにキャリアウーマンでバリバリ働いて男顔負けな収入を稼いでいたらさ、そこまで環だって追い詰められたりしないさ。
それに、環はずっと旦那からモラハラされてきて、一人で生きてはいけない女だと洗脳されていたんだ。
一人になるなんて事を考える事すらできないほど、押さえつけられた雁字搦めな毎日を送ってきたんじゃないの?
逃げる気力すらも奪われていたんだよ。
世の中、あんたみたいな強い女ばっかじゃねーよ。
弱くて不器用な女も居るから、こんな事件が起きるんだよ」