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私は女優よ!
第9章 天使OR悪魔

  帰り支度をするあなたを、私は平気な顔を作って送り出す。

 スーツの襟をそっと後ろから直して、背中に触れた。

 その背中は急いでいる。 

 切なさが込み上げた。

 あなたが振り向く前に、また私は平気な顔に戻さないと。


 「三宅環の裁判が始まったら、当分は会えないな」

 「判事を丸め込んで勝訴したなんて言われたくないもんね」

 「それは困るな」
 
 そう言って、あなたは笑う。

 『違うでしょ。
あなたが一番困るのは不倫がバレる事。
奥さんに知られてしまう事よね。
それと同時に築きあげた地位も一気に崩れるわ』

 「気をつけないとな、お互い」

 『不倫がバレた時は、相場以上の慰謝料くらい払うわよ。 
私を選んで、あなたがちゃんと奥さんと別れてくれるならね』

 「そうね」

 私も笑う。
笑いたくないのに笑う………
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