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心の隙間に…「君を好きにならない」スピンオフ
第1章 出会い
話を聞くだけなら…いいか。
そんな
軽い気持ちだった。
帰ってもどうせ眠れない。
だったら
ヤラれてもいい。
元々そんなつもりで
ココへ来たんだ。
誰かの相談に乗って
気がまぎれるなら
…それもいいか。
「いいですよ。
俺でよければ」
「ありがとね。
じゃ、岸本くん
呼んでくるわね」
「あ、あぁ、はい」
それからしばらくして
その岸本っていう大学生が
俺の側に立った
「はじめまして
岸本洸太です」
「あ、あぁ、俺は…マサシ」
「はい。
バーテンさんから聞いてます」
そう言って岸本が
俺の隣に座った
「あっ、痛っ」
バーのバイトにしては
わりと好青年で爽やか
俺より背が高く
俺より少したくましい
そのわりに
座る時足をぶつけたりして…
「大丈夫?」
抜けたところもある
「よかったら
他の店で飲みませんか?」
歳下なのに
リードするようなところもあるのか…
「あぁ、いいよ」
「じゃあ…」
俺が席を立とうとすると
岸本洸太は
俺より先に立って
俺の通り道を作った
そんな岸本洸太の
嫌味のない
振る舞いに
俺は少し好感を持った
「店は俺が決めていいですか?」
「構わないよ」
「ありがとうございます」