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心の隙間に…「君を好きにならない」スピンオフ
第5章 司さんと兄貴の友達(最終章)


夕方になり
俺達は
外に食事に出ることになった


コータは
明日大学の講義があるらしく
俺も仕事


食事が終わったら
それぞれのアパートに
帰る予定だ


「やっぱダメ?」

コータは
歩きながら
何度も俺にそう聞いてきた

「ダメだよ。
講義があるなら
泊まりはダメだ。
講義のない日は
いつでも来てかまわないから」


「今日は特別じゃないか…」


クスッ

少しスネたりすることも
あるんだな


「昨日も泊まったんだ
もういいだろ?」


「よくねーよ」


「なんでだよ」


「まだちょっと心配だから」


司さんのことか…


「もう泣いたりしねーよ」


「ほんとか?」


「もし泣くとしたら」


「え?」


「コータに会えなくて
寂しくて泣くよ」


そう言うと
急にコータは真顔になった


「やっぱ泊まる」


「た、例えばの話だよ。
大丈夫、泣いたりしないよ。
また…すぐ会ってくれるだろ?」


「もちろん。
明日の夜は
チェンジ休みだから
明日の夜
また会いにくるよ」


「明後日講義あるのか?」


「ねーよ。
ねーから」


そう言うと
コータは
俺の耳元に顔を寄せて
囁いた


「泊まる」


俺が咄嗟に
耳を手で塞ぐと
コータは
クスクスと笑った


「すぐ耳が赤くなるんだな。
やべ、キスしてぇ」


「おい、やめろよ。
人に聞こえるだろ?」


「はーい」


歳下なのに
歳下じゃないみたいで

恋人なのに
友達のようで


俺は
そんな不思議なコータの魅力に
どんどん惹かれていくことを
止められない


まだまだ若いコータが
いつまで
俺なんかと
付き合ってくれるのか
不安に思いながらも…。
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