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人魚島
第5章 夏祭り
肩を組み禅さんが『気張ってくぜぇッ!魂に火を着けろッ!』とニヤッとした。
僕等は『アンコールッ!アンコールッ!!アンコールッ!!!』とジャンプするオーディエンスの前に再度立ち塞がった。
甚平の中は汗で蒸れていた。
もはや咲子が何処で泣いてい様が気になら無かった。
僕はいたく興奮してナチュラルハイになって花子を尊敬していた。
『1.2.3ッ』と禅さんがリズムを取りながら頭を揺らした。
途端流れるイントロ32秒して花子が歌い出す。
『午前2時踏み切りに望遠鏡を担いで来た』バンプオブチキンはかなり低音重視のテノールボイスだったが、意図も容易く花子はその有り余る才能でカバーしてしまう。
サビに入りいよいよメロに入る。
観衆が一気にざわつき『うおおおぉぉぉッ!!!』と一つの怒号に変わって行く。
会場は一気に盛り上がり熱く白熱していた。
演奏者と観衆が一つになっていた。
ワーワーッ!!!と皆叫んで見事なウェーブが出来ていた。
僕はアウトロ部分に差し掛かり夢中でチョッパーし、髪の毛を振り乱しながら歓声を感じていた。
終幕になり、揺れる弦を押さえた。
『皆さんッ!本当にありがとうございましたッ!』
花子が観衆に頭を下げる。
花子の髪の毛は汗で輝いていた。
ワーワーッ!と未だにざわついている。
僕等はそれを、噛み締めながらステージ裏側の簡素なテントに戻ってミネラルウォーターを飲んだ。
『良かったじゃねぇかッ!』
禅さんが肩を絡ましてもたれ掛かって来た。
そして握り拳を構えるので、僕も握り拳を作ってそれにコツンとぶつけた。
興奮冷めやらぬままベンチに脚を投げ出して休憩する僕達に運営側のスタッフも『悪く無かったよ』と親指を突き出す。
花子がそれぞれ人数分の良く冷えたおしぼりを持って来てくれた。
僕等はそれで汗を拭った。
『まさかアンコール食らうとはなッ!』
『サマーソニックに立つ演者の気分だぜッ!』
禅さんと正太郎さんが興奮しながら言う。
『花子のお陰だよ』
僕は笑う。
『そんな事無いけん、みんなのお陰やけん』
謙遜しているのか、首を左右に振るう花子。
『あいつ等は誰一人聴いちゃいねかったな』
『誠、春香、咲子、穂波、敦、正子…か』
『咲子はどないしたんや?演奏始まってすぐ居無くなりよったけんな』
『あたしに嫉妬してるんだよ、きっと』
花子が自嘲した。
僕等は『アンコールッ!アンコールッ!!アンコールッ!!!』とジャンプするオーディエンスの前に再度立ち塞がった。
甚平の中は汗で蒸れていた。
もはや咲子が何処で泣いてい様が気になら無かった。
僕はいたく興奮してナチュラルハイになって花子を尊敬していた。
『1.2.3ッ』と禅さんがリズムを取りながら頭を揺らした。
途端流れるイントロ32秒して花子が歌い出す。
『午前2時踏み切りに望遠鏡を担いで来た』バンプオブチキンはかなり低音重視のテノールボイスだったが、意図も容易く花子はその有り余る才能でカバーしてしまう。
サビに入りいよいよメロに入る。
観衆が一気にざわつき『うおおおぉぉぉッ!!!』と一つの怒号に変わって行く。
会場は一気に盛り上がり熱く白熱していた。
演奏者と観衆が一つになっていた。
ワーワーッ!!!と皆叫んで見事なウェーブが出来ていた。
僕はアウトロ部分に差し掛かり夢中でチョッパーし、髪の毛を振り乱しながら歓声を感じていた。
終幕になり、揺れる弦を押さえた。
『皆さんッ!本当にありがとうございましたッ!』
花子が観衆に頭を下げる。
花子の髪の毛は汗で輝いていた。
ワーワーッ!と未だにざわついている。
僕等はそれを、噛み締めながらステージ裏側の簡素なテントに戻ってミネラルウォーターを飲んだ。
『良かったじゃねぇかッ!』
禅さんが肩を絡ましてもたれ掛かって来た。
そして握り拳を構えるので、僕も握り拳を作ってそれにコツンとぶつけた。
興奮冷めやらぬままベンチに脚を投げ出して休憩する僕達に運営側のスタッフも『悪く無かったよ』と親指を突き出す。
花子がそれぞれ人数分の良く冷えたおしぼりを持って来てくれた。
僕等はそれで汗を拭った。
『まさかアンコール食らうとはなッ!』
『サマーソニックに立つ演者の気分だぜッ!』
禅さんと正太郎さんが興奮しながら言う。
『花子のお陰だよ』
僕は笑う。
『そんな事無いけん、みんなのお陰やけん』
謙遜しているのか、首を左右に振るう花子。
『あいつ等は誰一人聴いちゃいねかったな』
『誠、春香、咲子、穂波、敦、正子…か』
『咲子はどないしたんや?演奏始まってすぐ居無くなりよったけんな』
『あたしに嫉妬してるんだよ、きっと』
花子が自嘲した。