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貴方だけに溺れたい
第5章 枷
どうかしてる。
こんな時に、あの人の事を考えるなんて……。
しかも、どうして?
あの人の存在そのものが、こんな卑猥な意識に繋がるの……?
欲求不満?
現実逃避?
願望?
それとも、まだ酔っぱらってるのかな……?
「あーあ、こんなに濡らしちゃって……ほんと、エロい子だね?葵は」
「ッツ……」
両脚を大きく開かされ、敏感になったクリトリスを弄ばれながらも葵の葛藤は続いていた。
陳腐な言葉は、もはや雑音にしか聞こえない。
しかし不可解な背徳感に苛まれる中でも、ちらちらと脳裏を過る森川の存在が自分を敏感にし、発情させている。
"いけない"と思っているのに、脚の間に座る智之と同じ体勢をした森川の姿が浮かんでしまう。
茶色のツナギを脱ぎ捨てた逞しい胸板や、引き締まった腹部にくっきりと浮き出たシックスパック。
見た事も無い裸体までもが脳内で再生されると、葵は自分の入口から流れ出る、熱い欲情の証を感じた。
想像で濡れるなんて、どうかしてる……。
けれど辛うじて理性的な思考を保ちながらも、葵の道徳観は、もともと清く正しいものでも無かった。
愛液に濡れた指先を自分の弛んだ腹で拭いながら、「よいしょ」と腰を落とす夫の姿を眺めているよりは、目を閉じて、あの明るいブラウンの瞳を思い浮かべていた方が良いとも思える。
「お◯んこぬるぬるだよ、葵ちゃん」
「……ンッ……イッ……」
馬鹿のひとつ覚えのような下品な言葉を聞かされながら、無遠慮な挿入の痛みに堪えるくらいなら、それを森川のモノだと思いながら"終わり"を待つ方が幸せなのではないかとも思える。
「……ッ……ンッ……ンッ……ンッ……」
「ッ…はあ~……気持ちいぃ~」
「……ンッ……………」
だけど……。
「葵……凄いよ今日は……ぬるぬるでエロ過ぎる……」
「……………」
そんなのは、絶対に駄目だ。