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貴方だけに溺れたい
第5章  枷


" Am.1:37 "

暗闇の中、隣のベッドから規則的な鼾が聞こえ始めると、葵はサイドテーブルに置いた時計を確認してから起き上がり、静かにウォークインクローゼットへと向かった。

あれから40分以上の時間が経っていた。

しかし漸く自分のベッドに入り、眠る事が出来るはずだった葵は、自分の肌に染み付いた智之の汗や匂いが気になってしまい、落ち着かなくなっていたのだ。

自分でも、どうかしてるとは思う。

普段なら智之の痕跡なんて何とも思わないものなのに、数時間後に森川に会うという意識が、形容し難い、気まずさのようなものを沸き上がらせていた。

このままでは居られないような、とにかく全てを洗い流してしまわなければ、自分が自分ではいられなくなるような漠然とした不快感……。

クローゼットからタオルと下着一式を持って寝室を出た葵は、真っ暗な視界の中を壁伝いに進みながら、ほぼ無心ともいえるような常態で風呂場へと向かった。

物音を立てないように扉を閉め、照明を灯した脱衣所で急いでパジャマを脱ぎ、身に着けていた下着を洗濯カゴの奥に押し込む。

智之が触れたキャミソール。
自分と智之の体液の付いたタップパンツ。
エアコンの風に晒され続けた身体は発汗していた為に、あの時に触れた智之の肌と同じように冷たい汗でベタついていた。

早く洗い流したい。
とにかく全てを洗い流して、何もかも"無かった事"にしてしまいたい。

思う事はそればかりだが、浴室に入り、漸く熱いシャワーを身体全体に浴びた葵は、それから暫くの間、無意識にも智之と繋がっていた部分を洗い続けていた。
そして乾かす手間も忘れて髪まで洗い、自分専用のボディソープを何度も泡立てながら一心不乱に身体全体を擦り続けた。

まるで極度の潔癖症のようだとも思った。
しかし、そうせずにはいられない。

本当は"何も無かった事"になんて、出来るわけが無いと分かっているのに……。



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