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第19章 月に叢雲花に風

負けたわぁ・・・
言えないけどな

ロマンチックだわぁ・・・
言えないけどな

言いたくないけどな
悔しいから


俺・・・
伊織に今度言ってみよう

「星が綺麗ですね」

って・・・

「は？」

って・・・返されるんだろな・・・

月じゃなくて星

「月が綺麗」
が愛してるなら・・・
星が・・・って

星はいっぱいあるじゃん？
月は一個しかないし？


俺の伊織への愛は月一個じゃ足んないから？

幼馴染歴の愛は重いんですよ？

俺の愛は敢えて・・・

「星が綺麗ですね」

って・・・言いたい


その位、捻くれてても良くね？

定番のアイラブユーを伝えたい訳じゃないし？
俺だけの愛をわかってもらいたいんだし？

頭の良い伊織の事だ

「そこは・・・月が綺麗ですね・・・じゃないの？」

って・・・言われたら・・・

俺がどんだけ伊織を好きなのか話せるし？

月が一個だから嫌だとか？
星の数ほど愛してるとか？

ベタだけど・・・
捻くれてるけど・・・

きっと・・・
伊織は・・・

「直哉らしい」

って・・・笑ってくれそう
そんで俺は

「伊織だったらわかってくれると思った」

って、笑い返す

そんで・・・抱き締めてキスする

好きだよ？
好きだ


何回もキスして・・・


伊織の親友になった友達の口説き文句だって・・・
事は・・・

内緒で良いかな？

だって・・・
悔しい

言いたくない

羨ましかったって事・・・
谷川さんに負けた気がするって事・・・




だって・・・
だって・・・

恥ずかしい

プロポーズの言葉・・・
もろパクリなんて・・・

けどさ？

羨ましいのは事実だから・・・
ちょっと変えて伊織に気の早いプロポーズの予行練習
ほら？
験は担ぎたいじゃん？

そんでさ？

その言葉の意味を・・・
どうか・・・
どうか・・・

俺の想像どうりに理解して？
そして・・・


「私も・・・死んでもいい位」

って・・・
応えてくれる？
応えてくれたらいいのにな


谷川さんの事、今度から恋愛マスターって心の中で呼ぼうかな？