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悠一郎の独り言
第1章 2017年11月10日(金)22:34
座っても話すことはできません。
なので黙って画材を出して絵を書くことにしました。
途中の絵を立てかけると、少し離れていますが、彼女の絵と並びます。
色のコントラストがあまりにも違いすぎて、まるっきり違うんです。
それ見て悲しくなりました。
これほどまでに私と彼女の人生は違うのかと悲しくもあり、これが現実なのだとつきつけられた気がしました。
普通に人と話せていたら、私にもこんな絵がかけていたのかと思わずにはいられませんでした。
ですが、彼女は私の絵を見て言うんです。

「素敵な絵ですね」

と。
びっくりして彼女を見ると真剣な表情で私の絵を見ていました。
どこが素敵なのか聞きたくても聞けません。
あなたの絵の方が素敵ですよと言いたいけど言えません。
…それが私なんです。

「絵はその人を映し出すと言いますよね。あなたの絵はすごく優しい感じがします。…ずっとそう思ってました」

彼女はにっこりと微笑んでそう言ってくれました。
はじめて言われたことに面食らっていると、彼女は自分の絵を私の絵の真横に並べます。
どうみても、彼女のほうが素敵でした。

「こう並べれば一目瞭然ですね。私の絵はまだまだ、あなたの絵の足元にもおよばない…」

少しシュンとした表情を見て何かを言ってあげなければと、漸く口を開きました。

「あ…あなたの絵の方が…素敵です…。私は…あなたの色彩…すっ……すっ…好き…です」

顔が真っ赤になっていたのは言うまでもありません。
人に対して(絵ですが)好きと言った事もなく奇跡に近いんです。

「ありがとうございます!!」

今度はパァ~っと花が咲いたような笑顔になりました。
笑顔のほうがいいな。
と瞬間的に思った私は…きっと彼女に好意を持ち始めたんでしょうね
無口で喋り下手な私が必死で言葉を紡ぐのですから。

「色使いが…きれいで…あなたの内面がでている気が…します。見た瞬間に…魅了されました…」

私にしては頑張った会話です。
たどたどしい言葉でも、彼女はうれしそうに聞いてくれました。
そこからは話しながら(私が2割、彼女が8割ぐらいでしょうか)お互いに自分の絵を描き始めました。
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