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君を孕ませたい
第5章 併存する心
「・・・・」

思いがけぬ口付けに思考が止まる。



驚いて言葉を無くしている自分に実咲が再度口付けをしてきた。



ほんの数秒、唇と唇が触れただけの軽いキスではあったが、ふっくらとした柔らかな唇の熱を感じはっと意識が戻る。



「実咲、実咲っ・・、実咲・・・っ」

ぎゅうっときつく抱きしめ愛しいその名前を何度も呼ぶ。



「実咲・・今キスしてくれたよね?・・そういう事だよね?」

両頬を掌でそっと包み込みくりくりとした黒い瞳をじっと見つめる。



「だって・・っ、翼さんはもう私のこと諦めてくれないんでしょう?」

照れくささから少しでも逃れようと目を逸らし伏目がちにしながら答える。



「そうだよ。もう絶対に実咲の事を手放す気はないよ」

視線を合わせるように顔を覗き込む。



「・・っ、だったら・・翼さんの事好きになるしかないもんっ」

恥ずかしそうにほんの少し唇をとがらせぷくぅと頬を膨らませる。



この短い休暇中で実咲の気持ちが完全に自分の方に向くとは思っていない。
妥協や諦め、そんな気持ちが込められた想いでも今はまだ構わない。実咲が自分の気持ちに寄り添おうとしてくれている事が本当に嬉しい。



「実咲、俺はもう想いを堪える事無く実咲を好きにして良いの?」

華奢な腰回りに手を回し、ぐいと腰を引き寄せ更に体を密着させる。



「す、好きにしたら良いよ。どうせ嫌って言ったって聞いてくれないもんっ」

これからされる事を想像しているのだろうか、顔を赤く染めわざと素気なく答える。



「そうだね、じゃあこれからはもっと実咲の事を好きにさせてもらうね」

言うや否や顔に唇を寄せ再び唇を重ねる。



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