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第11章 満月～あなたのいない世界～

　何でも〝元風〟が良いとし、自ら熱烈な元文化の信奉者となり、その文化を高麗にも取り入れることを奨励した。そんな王の〝元かぶれ〟を憂え、憤る廷臣たちが多かったのもまた事実である。王毒殺という未曾有の謀反(クーデター)が起こる下地は十分にあった。元国を崇拝し、ひたすら皇帝に迎合する自国の王がいずれ高麗を元国の領土として差し出してしまうのではないか。そんな危惧を抱く廷臣も少なくはなかった。