この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第19章 再会の瞬間(とき)~月日は流れ流れて~
「これは宮廷お抱えの職人に作らせたものだ。朕が描いた白木蓮の花を象ったものよ。久しぶりに花の絵なぞ描いたが、なかなかに愉しかった。大きな声では申せぬが、おなごに簪など贈ったのは亡くなった王妃以来だ。どうか、これより後も我が従兄のことを見限らないでやってくれ。朕は光興君が本当は暗愚な男ではないと知っている。だが、宮殿にいては彼と腹を割って話すことなどできない。せめて、いつも側にいるそなただけでも従兄の心に寄り添ってやって欲しいのだ」