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第20章 恋情～切なくて逢いたくて～

　良人の王承の居室から臨める庭に、梔子の花が植わっている。まだ早いものがわずかに咲いているだけだが、六月になれば、それこそあまたの花が満開に咲き揃うに違いない。






　梔子の花が咲く季節になると、どうしても幼い日の記憶が甦ってしまう。そう、周緻と約束したあの日以来、梔子の季節が巡ってくる度に、そわそわとして待ちきれず、あの場所―彼と初めて出逢った梔子の庭に通っていた切なくも甘い想い出だ。