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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第20章 恋情~切なくて逢いたくて~
 ジュチはその場に佇み、物言わぬ白い花を眺めた。




「満月が煌々と地上を照らす。私はあなたを想い月を観る。恋人は千里の彼方にあり。私の心はあなたの側にある。梔子の花が夜の風に揺れる」





 澄んだ玲瓏とした声が初夏の風に乗って流れてゆく。自分でも意識せず、ジュチは〝梔花哀憐〟を謳っていた。
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