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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第23章 落城の夜
フィメリアは震える声で呟いた。深夜に砂漠を徘徊する獣よりも、讃が怖かった。けれど、最も怖かったのは他ならぬ自分自身だった。讃の熱を帯びた声や明らかに男の欲望を宿した瞳を怖いと思う一方で、それらを心地良く感じてしまう自分の心だった。
もし、讃が手を伸ばして身体に触れたら、自分はどうするのだろう、どうなるのだろう。この敵国の男に対して、フィメリアは明らかに初めて逢ったときから、惹かれるものを感じていた。引力のような、何か強い力で引き寄せられるものを。
もし、讃が手を伸ばして身体に触れたら、自分はどうするのだろう、どうなるのだろう。この敵国の男に対して、フィメリアは明らかに初めて逢ったときから、惹かれるものを感じていた。引力のような、何か強い力で引き寄せられるものを。