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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第24章 後宮という名の檻
―私はフィメリア姫を後宮に置くことには賛成致しかねます。
―さりながら、姫の身の安全を図るには後宮がいちばん良いのだ。そうは思わぬか?
丞相はそれでなくとも薄くなった頭髪を我知らず神経質な仕種で撫でつけた。髪の薄いのが彼の悩みで、髪を結うにも少ない髪の毛を何とか、かき集めるようにして結っている有り様なのだ。彼がいつどこでも冠を外さないのは、薄くなりつつある頭髪をごまかすためだとか、そんな噂もひそやかに流れている。