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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第26章 喪失、そして愛、ふたたび
喪失、そして愛、ふたたび
永明公主が深い憂愁に沈んでいたその頃、フィメリアは高麗の都開京(ケギョン)の下町に潜んでいた。
夜陰に紛れて王宮を逃れ、はや丸一日が過ぎようとしている。今回の逃亡はお付き女官世羅が手を貸してくれたからこそ、なし得たといえる。もちろん、フィメリア自身は世羅を途方もない企てに巻き込むつもりは毛頭なかった。けれども、フィメリアの固い決意を聞いて自ら助っ人を買って出たのだった。