この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第26章 喪失、そして愛、ふたたび
―良いのよ、世羅の言うことは真実だもの。確かに夏陽はもう存在しないわ。でもね、世羅。夏陽のあった場所に、今も人は住んでいると思うの。戦の直後は民も恐れをなして散り散りになってしまったけど、きっと少なくとも何人かは祖国を忘れ得ず戻ってきているはずよ。だから、私もその一人として、いいえ、夏陽の王族のただ一人の生き残りとして、夏陽に帰るべきだと考えたの。
世羅はフィメリアの言葉に息を呑んだ。
―もしや姫さまは夏陽再興をお考えに?
世羅はフィメリアの言葉に息を呑んだ。
―もしや姫さまは夏陽再興をお考えに?