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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第3章 運命の瞬間
「判っている。さりながら、周緻(ジユチ)、この書状の山を見てごらん。今、僕が眼を通した陳情書には、さる地方の大きな川があまりにも度々氾濫を起こして近隣の村々は重大な被害を被っていると書いてある。それなのに、国は例年どおりの年貢の取り立てをするから、田畑を棄てて逃げる村人が後を絶たないそうだ。飢え死にする者がいるのに、それでも米を取り立てるのかと、書いてあったよ。高麗では、まだまだ生活苦に喘ぐ民がいる。なのに、僕が少しこれを読んだくらいで、いちいち休んでいて良いと思うかい?」