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第9章 未練

　賢は勘違いをしているようだが、王には野心は殆どなかった。権力も玉座もそれほど魅力があるものだとは思えない。賢がもし女性化せずに自分と同じ男になっていたとしたら、悦んで従兄の補佐役に甘んじていただろう。







　乾(コン)が王になりたいと願ったのは、従兄が最早、男性化することはないとはっきり判ってからだった。乾は従兄についての情報なら何でも洩らさず入手するようにしてきた。