この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第9章 未練
十歳年上のあの男は既に十七歳になっていた。確かに賢と同じ歳の乾よりも、あの男の方が頼もしく頼り甲斐もあるように見えただろう。乾は賢にとって、自分が弟のような存在でしかないのをその頃から自覚していた。従兄にとってはいつまでも自分は〝可愛い従弟の乾〟なのだ。
だからこそ、あの宦官に負けたくないと思った。武術も苦手な学問にも今以上に励み、あんな下賤な者に大切な従兄の心を盗まれてなるものかと思った。従兄にふさわしい男になるのだと幼いなりに研鑽を積んだ。
だからこそ、あの宦官に負けたくないと思った。武術も苦手な学問にも今以上に励み、あんな下賤な者に大切な従兄の心を盗まれてなるものかと思った。従兄にふさわしい男になるのだと幼いなりに研鑽を積んだ。