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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第9章 未練
 いつもこうだ。賢の美しい瞳は虚ろで、王の姿は映らない。まるで魂(こころ)が現身(うつしみ)からさまよい出た抜け殻のようではないか。






 王は眼を細めて賢を見た。白に近い、はんなりとした黄なりの下衣に春に咲く桜の花のような淡い紅の上衣を纏って立つ姿は、さながら秋の庭園にひっそりと咲く撫子の花のようだ。
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