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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第9章 未練
何か言おうとして、堪え切れなかった涙が賢の頬をつたい落ちた。ハッとして慌てて手でぬぐったが、宗俊は目ざとく見ていた。
「十八年間、王子として生きておいでになり、いきなり王女に戻れと言われ、おいそれと気持ちを切り替えることができない。王妃さまのそのお気持ちはお察し致します。ですが、今となっては、あなたさまにお願いするしかないことです。反元派、親元派関係なく、王妃さまの一日も早いご懐妊を高麗の民は心より待ち望んでおりますぞ」