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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第10章 愛縁
案の定、この日も王は憮然とした面持ちで重臣の訴えを聞いていた。王妃一人を熱愛するこの王に側室云々の話は禁句だと皆、ここにいる廷臣一同は心得ている。だが、その肝心の王妃が王に心を開かず、結婚以来いまだに初夜を済ませていないというのだから、先行きは暗い。
先王は結局は毒殺されてしまったものの、在位中でも病がちであった。十八歳の王はまだ即位したばかりではあるが、王子どころか王女の一人もいない。この王に何かあれば、直系の王位継承者がいない状態になる。
先王は結局は毒殺されてしまったものの、在位中でも病がちであった。十八歳の王はまだ即位したばかりではあるが、王子どころか王女の一人もいない。この王に何かあれば、直系の王位継承者がいない状態になる。