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第10章 愛縁

　途中で変わってしまう想い出は、一つめと似ているようで違う。場所はジュチと過ごした川原ではなく、乾と過ごした川原だ。周囲の風景は同じに見えて微妙に違う。賢には、似ている二つの風景が違うのだとはっきりと判った。




　二つめの想い出では、賢を見つめているのは乾だった。乾も賢もまだ幼い。そこにも木春菊の野原がひろがり、賢は夢中で花を摘んでいる。摘んだ花で花冠を作り、頭に乗せた賢を乾は笑って眺めている。