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第10章 愛縁

　いっそのこと、乾を徹底的に憎むことができたなら良かった。けれど、実の弟のように思っていた乾をひたすら憎むなんて、どうしてもできない。何か非業の死を遂げたジュチに対する裏切りのように思えて、賢は居たたまれなかった。







　賢は手のひらに金緑石の簪を乗せたまま、立ち上がる。背後に控えた崔尚宮が近寄ってきて、撫子を受け取る。