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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第10章 愛縁
女性化した身体に、子どものときから持ち続けている男の心。その烈しい格差に葛藤する賢に、ジュチは優しく言ったものだ。
―急いで大人にならなくて良いんですよ。
そう囁かれ、頭を撫でられる度に賢は嬉し涙を零した。
この男と一緒にいる限り、男であるとか女であるとかを考えなくて良いのだと心から思え、自然体の自分でいられることがどんなに心地良かったか。ありのままの自分を認めて愛してくれるひとに出逢えたことは至福の歓びに思えた。