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サイドストーリー8
第19章 朝凪×蛍
「好きな人、出来たよ」

そんな私の嘘を見破るように博之は聞いて来る。

「その男に決めた理由は?」

どんな理由を挙げたって私の中で博之に敵う男はいない。
どんな理由にしようかと一瞬迷った時
ふと、先日博之の弟の信くんに言われた言葉を思い出した。

27歳になった信くんは今年・・・・
博之の年を追い越した。

「・・・10年以上、私と一緒にいてくれるって約束したから」

信くんはそう言って、私を背中から抱きしめた。

「・・・・そうか」

きっと博之は全部全部、全部気がついてる。
その言葉を言ったのが信くんで
少し前から信くんに告白されてる事。

そして―――好きな人が出来たって言う、私の嘘も。

それでも10年以上一緒にいるなんて
今の私には何よりも欲しい言葉で
信くんはそれを知りながら、私を抱きしめた。
10年以上一緒にいて。
でも、その言葉は言葉にならなかった。

寂しさで一緒にいてもらったとしても
信くんを博之の様に愛する事は出来ないから。

博之は私が好きな人が出来たって言わないと
いつまでもこの世をさまようことになる。

成仏して、欲しい。
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