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この前、人を拾いました
第6章 ①―5 母親じゃないので
「どうしたの?みきちゃん、なんか今日元気無いわね?」
会社でぼぅっと自分のデスクに座っていると、隣にいる百合子先輩私の肩をトンと叩いた。
「ああぁ、いや、、すみません。」
私は、そう無気力に返事をすると、脇に置かれた書類を手にする。
あ〜あ
全然仕事する気になれない。
「ここ最近、なんとなく元気だったのにね。」
「いや、そんなことないです。むしろここ最近ほんと訳の分からないことばっかりで。」
本当、レイがうちにきてから、私は振り回されてばかり。
昨日はあのまま寝てしまった。
レイは珍しく何かを言ってくる事は無かった。
朝もまだ寝ていたようで顔は合わせていない。
たくっ…いつも私が起きたら起きてくるくせにっ。
そして、私は小さくため息をついた。
「いや、みきちゃんっ!恋!?」
「はあっ!?」
思わず先輩だという事を忘れて叫んだ私、ヤバい…と思って口に手を当てる。
あ……
「すみませんっ。」
すぐに謝ると、百合子先輩は上品に笑った。
「図星の反応じゃないっ」
そういって百合子先輩はからかうようにして軽く私の背中を叩いた。