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この前、人を拾いました
第54章 ⑥―4 要注意人物…?



「何の事故ですか?」


私の問い掛けに、総一さんは真顔で


「交通事故です。」


と言った。



「………ふらぁーと……まるで幽霊のように交通量の多い道に飛び出していってしまった……みたいです。」



ふらぁーと…?


幽霊のように??


飛び出した???





「“みたいです” ということは、総一様はその場にはいらっしゃらなかったと言う事ですか…?」





今まで黙っていた若村さんが尋ねると、総一さんは頷きながら、そうだ、と呟いた。





「でも……ふらぁーと道路に出るって…レイらしくないっていうか…。あ、それとも事故に合う前はまた違った性格だったんですか?」



「いえいえ、事故の前と後の違いはあの能力が加わったくらいですよ。まぁ、礼二にとっては大きな違いだったんだろうが…」




そう言って、総一さんはどこか遠くに思いを馳せているような顔をした。




今、私が知ろうとしていることはレイが「東大首席卒業だ」とか「西園寺の御曹司だ」とか、そういう表面的なことでないのだろうことはすぐに分かった。



いつもは見せない、レイの心の奥に隠されたもの。


誕生日という幼い頃ならば誰もが待ち兼ねる一年の一大イベントを嫌う理由──…




「何があったんですか。」



私は覚悟を決めて、総一さんにきいた。



すると、総一さんはゆっくりと重い口を開いた。
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