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この前、人を拾いました
第55章 ⑥―5 10th Birthday
礼二は昔からよく笑う子だった。
何をさせてもすぐに出来るようになってしまう。
その代わり、熱中してなにかをし続けることはない。
ただ、ひたすらに家の中を走り回り、笑顔を振り撒いては使用人たちの心を和ませる。
西園寺家の光のような存在だった。
もちろん、父もとてもかわいがっていた。
一方、私はと言えば…
もちろん、愛されていたという自覚はあるけれど西園寺財閥の跡取りとして厳しくしつけられた。
だから、自由で責任もないくせに何でも出来る礼二のことをみて、たまに嫉妬することもあった。
でも、礼二が唯一知らないものを私は知っていた。