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この前、人を拾いました
第57章 ⑥―7 26th Birthday



「レイっ……」



膝をついたまま、まるで人形のように生気を失ったレイを私は力一杯抱き締めた。




彼の心の奥を垣間みて、どうしたらよいのか、戸惑ってしまった。




こんな過去を背負って生きていたレイの苦しみは想像することすら出来ない。



ああ…でも──






「私はっ……レイのお母さんに感謝してる……」





愛しい彼が、今ここにいる。



その事の意味。






「命懸けで……レイを生んでくださってありがとうございますって…そう思ってるっ…」





生まれてこなければ、ここにはいれない。



それは当たり前のこと。






「じゃなきゃ…レイにも会えなかった……っ。そんな世界、私は嫌だっ……」





静かに涙を流すレイをさらに力強く抱き締めた。






「レイ………お願い。僕が生まれたせいだなんてっ…そんなこと言わないでっ…」






気付けば私もレイの胸の中で大粒の涙を流していた。




誕生日を否定する事。



それは自分の存在を否定する事。



そして私との出会いや過ごした日々までも否定されたような気がしてすごく苦しかった。





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