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この前、人を拾いました
第8章 ①―7 キモチ



「ほ、ほら、みきちゃん、もう帰るよ!」




私ががぶがぶとお酒を飲んでいるのを見ていた正人さんはしゃっくりも止まってすっかり酔いも覚めているようだった。



私はというと


もうなけなしの意識で、必死にそこに座っている。



ああ……


目が回る……





「ん……」





私はそれだけ返事して、立ち上がる正人さんのネクタイを引っ張った。




「うわっ」




バランスを崩した正人さんは私の前にしゃがみこむ。




顔がとても近かった。




正人さんの表情が、ぐにゃりと曲がってぼやける。



「ふぁ……んっ……」




意識が朦朧として、変な言葉しか出なかった。





「み、みきちゃん……」




醸し出されたいいムード。



どうにでもなれ、だ。




そして


正人さんが私にさらに顔を近付けようとしたそのとき──



「みき!!!!!!!!」



と大きな声がして、座っていた私を誰かが持ち上げた。


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