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この前、人を拾いました
第89章 ⑩—2 雑誌と検査薬と、それからわたし


「……勘違いだったみたい…ははは…」



ゆっくりとレイの事を見たら、ふぅ…と息をついていた。
そして



「よかった」



と小さな声で呟くと、再びうっ…と呻いてトイレにダッシュしてしまった。



レイの吐いている声を聞きながら、私は呆然としていた。


え……?


いま、レイ、
良かったって…言った……?


それってどういう意味……?


軽く動揺している私の胸がチクリと痛む。





──────────二人だなっ!!!



オーストラリアで、プロポーズされたとき、レイがそう言っていたのを思い出した。


こんなにすぐっていう予定ではなかったけど、でもいつか、子どもを持つことは当たり前のことだと思っていた。



なのに、妊娠してないって分かって、良かったって……


いやいや、レイの言うことを気にして、いつも後で肩すかしをくらうんだ……。



そう言い聞かす。



そして、私は痛む胸に気付かないふりをしながら、先ほど買った育児本をそっとゴミ箱に捨てた。



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