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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第9章 あの時-千弥の封じた過去
「ガ……ハッ……ア"……」
身体が破壊される、意識が真っ白になり遠退く、私の心が完全に壊わされる。
「おいっ、その辺で止めとけや。せっかく躾たもんを、使い物にされなくなるのは困るからな」
朧気に聞こえるのは九鬼の声、怒気を波乱でいるようなその言い方。
「聞こえただろ、止めと言ってんだっ!!」
薄れゆく意識の中で、九鬼の怒鳴り声と、破壊的な衝撃が消えた感覚。だけどもう私は……自分が完全に狂うのを自覚しながら意識を手放した。
◇
それからは、九鬼を見るたびに震え恐怖に怯える日々。
九鬼が私を犯す回数も減り、私は1日のほとんどを、ベッドの隅で膝を抱えて過ごす毎日。
本来の私でもない、淫乱な私でもない、第3の怯える私が、ここで出来上がってしまった。
無音のこの部屋だけに、私は安定を覚えた。九鬼が部屋に入らない限りは。
そして転機はやって来る。
あの時の一人が警察に捕まり、情状酌量欲しさに九鬼のことをリーク。麻薬所持と監禁の容疑で、九鬼は捕まった。
私も漸く警察に保護されたけど、部屋に入って来た警官を見た途端、私は震え暴れそのまま病院に送られた。その時に初めて知ったの、私のお腹の中に赤ん坊が居ることを。まだ堕胎出来る時期だったので、医者の判断により赤ん坊は中絶。その後1年以上、私は病院に入院し、あの街では不味いということで今の街に移り住んだ。
九鬼は裁判を受け、法廷で私には近寄れない判決を受けた。もし近づけば、その場で逮捕される判決が出ている。
これが19歳から21歳までの私に起こった出来事。
そして被害を受けことを隠して今の会社に入社し、現在にいたる。……最低な私の過去の話。