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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第12章 新たなる出発点-千弥

◇
「…………」
一抹の不安は当たるとしみじみ実感。初めて入った蓮さんの個人事務所は、使い終わった食器や小物の山、山、山!
まず私が始めに取り掛かったのは、この山を綺麗に仕分けすることから。
「うそぉ、こんな高級食器を無造作に……」
1枚数百万はする高級食器が、デスクの上に放置とかあり得ない!
パソコンはあるので、在庫カタログを作りながら、本当の倉庫部分に丁寧に仕分けしていく。こんな場所でマーケティングの手腕が役に立つなんて、丸っきり思ってもいなかったよ。
「すまないね、私生活はともかく、仕事となると収拾が付かなくなりがちで……」
「蓮さんの意外な一面」
「それを言われると痛いかな」
蓮さんは外の仕事があるから、私はその日使う食器類を用意して蓮さんに渡すだけ。この状態を解消しないと、せっかくの食器や小物が勿体ないでしょう!
在庫整理が終わるまでは、事務所がら動きませんと明言をし、毎日仕分けに奔走中。
「これは……奥かなぁ?」
でもね、こうして実物を触れる機会があまり無かったから、仕分け作業が楽しくて仕方がないの。
今まではネットかカタログ越しだったのが、本物に触れられる喜び。山にしたのはね、流石に呆れてはいるけれど、どこかで分かる部分もあるのよね。本物を見て触らないと理解出来ないこともあるから。
仕分け終わったのは、初めて事務所に来てから2ヶ月くらい経った頃。
1つずつ写真を撮り、どの場所に置いたかパソコンで全て見れるようにと、こだわったせいもあるよ。

