この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
喝采
第3章 おお、友よ
「ありがとな、玲音。でもわざわざそのためだけにヨーロッパから飛んで来なくてもいいから。俺はほとんど日本で歌ってる。そんなことをすれば、俺が歌うたびに、お前がヨーロッパから飛んでこなければいけなくなる」

 雫石が他人に好かれないなんて嘘だ。確かに気難しい面もあるが、心の垣根を越えてぐっと近づけば、真摯で誠実な本当の雫石が見えてくる。雫石が他人からの好意に気づいていないだけだ。きっと雫石に好意を持っている人間はたくさんいるはずだ。

「こんなところで時間を無駄にするな。楽屋に戻れ。時間がもったいない」
「じゃあ、終わったら打ち上げに来ねーか?」
「いや。すぐに成田に向かう」
「……何しに来たんだよ」
「演奏会を聴きに来たと言っただろう」
「そうだった。じゃ、とりあえずゆっくり聴いていけよ」
「ありがとう」
「ありがとうはこっちのセリフだぜ」

 自分が雫石の立場なら、わざわざヨーロッパから飛んできたりはしないだろう。こんなに誠実で優しいのに、どこまでも人形みたいに無表情なのがおかしく、そして愛おしいと思った。
/100ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ