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喝采
第9章 血しおしたたる
数日後、谷田部と雫石は同居にあたり足りない物を買うべく、近くのショッピングセンターを訪れていた。すべての買い物を終えたあと、駐車場に向かう。
「一つ僕が持とう」
「平気平気。これくらい気にすんな」
両手に複数の袋をぶら下げる谷田部を気にして、雫石が申し出る。
「ん? 危ない! 玲音!」
敷地内の横断歩道を渡っていた二人をめがけて速度を落とさずに突っ込んでくる、一台のセダン。運転手はと見てとれば、ぐったりとハンドルにもたれかかり、意識がない様子だった。
このままだと二人とも轢かれてしまう。だが、雫石は足が悪い。逃げるのは間に合わない。
――ならば。
谷田部は手にした荷物を放り投げ、身を呈して雫石を庇おうと腕を伸ばした。
だが谷田部よりわずかに早く、雫石が谷田部を突き飛ばしていた。守ろうとしていた雫石からの予想もしなかった行動に、避けることはできなかった。
アスファルトに倒れ込みながら、雫石が車に轢かれ倒れるのが、まるでスローモーションのように谷田部の目に映った。車は雫石を巻き込み、別の車に衝突して止まった。
「玲音ーーー!!!」
谷田部は絶叫した。雫石は車の下敷きになり、詳しい容態などはまったくわからない。
「……大丈夫、大丈夫だから」
車の下からはしっかりとした雫石の声が聞こえた。だがかなりの出血をしているらしく、真っ赤な血が、車の下から流れてきた。
やがて誰かが呼んだのだろう、救急車とパトカーのサイレンがけたたましく近づいてきた。すぐにジャッキで車が持ち上げられ、雫石は救出された。
「一つ僕が持とう」
「平気平気。これくらい気にすんな」
両手に複数の袋をぶら下げる谷田部を気にして、雫石が申し出る。
「ん? 危ない! 玲音!」
敷地内の横断歩道を渡っていた二人をめがけて速度を落とさずに突っ込んでくる、一台のセダン。運転手はと見てとれば、ぐったりとハンドルにもたれかかり、意識がない様子だった。
このままだと二人とも轢かれてしまう。だが、雫石は足が悪い。逃げるのは間に合わない。
――ならば。
谷田部は手にした荷物を放り投げ、身を呈して雫石を庇おうと腕を伸ばした。
だが谷田部よりわずかに早く、雫石が谷田部を突き飛ばしていた。守ろうとしていた雫石からの予想もしなかった行動に、避けることはできなかった。
アスファルトに倒れ込みながら、雫石が車に轢かれ倒れるのが、まるでスローモーションのように谷田部の目に映った。車は雫石を巻き込み、別の車に衝突して止まった。
「玲音ーーー!!!」
谷田部は絶叫した。雫石は車の下敷きになり、詳しい容態などはまったくわからない。
「……大丈夫、大丈夫だから」
車の下からはしっかりとした雫石の声が聞こえた。だがかなりの出血をしているらしく、真っ赤な血が、車の下から流れてきた。
やがて誰かが呼んだのだろう、救急車とパトカーのサイレンがけたたましく近づいてきた。すぐにジャッキで車が持ち上げられ、雫石は救出された。