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エレベーターガール
第3章 エスカレーターガール
「副社長付きだったちえみさんが退職してるからよ。」
「ああ、妊娠して辞めたとかいう噂の?
えっ、もしかして副社長の子を…?」
「いいえ、秘書は役員の夜のお相手だけが仕事じゃなくて、接待営業で取引先の方もお相手するらしいわよ。
ちえみさんは副社長の子だと主張して、副社長は『誰の子かわからんだろう。』と突っぱねたって噂。
自主退職と公表されているけど、本当は解雇で退職金すら出なかったって話よ。」
「うわぁ、ちえみさん未婚の母ですか?」
「ちえみさん以外でも、秘書の退職って多いでしょう。」
「確かに、2、3年で変わってしまいますよね。」
「過度な接待で体や心が持たないってことらしいわよ。」
「それで聖子先輩は適材適所ってわけですね。」
「そういうこと。でも内部事情に詳しくなると面倒だから、2年もしたら難癖つけられて解雇になるわよ。」
「じゃあ、エスカレーターするのもこれで終わりってことですね。」
「そう、だからえりちゃんはしっかり仕事を覚えて、自分の足で階段を上りなさいよ。」
「さゆり先輩〜、よくわかりました。私、さゆり先輩について行きます〜」
「ふふっ、わかってくれればいいのよ。」