この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
記憶の彼方に眠る恋
第4章 再会

拓麻は何気ない様子で振り返ったが、紗友莉の姿を見るや否や、ポカンと大きな口を開けたまま絶句してしまった。
紗友莉としては、久々の再会に色々と思うところもあり、なおかつ拓麻の状態に関する懸念もあり、心の中はかなり複雑だったが、拓麻の今のこのリアクションが何より大きな不安を呼び込んでしまう。
今までかつて、拓麻が紗友莉に会った際に、言うまでもなく、こんなリアクションを取ったことはただの一度もない。
つまり、こうして目を見開き、口を大きく開けている、拓麻のこの驚いているかのようなリアクションこそ、拓麻が紗友莉のことも完全に忘れ去ってしまっていることを如実に示しているのだ。
かつての片想い相手からこうしてまじまじと見つめられることは、紗友莉にとって面映いことではあったが、それよりも何よりも、拓麻が自分のこともすっかり忘れてしまったような様子であるということが紗友莉にとっては悲しく寂しかった。
紗友莉に椅子をすすめながら、自らも拓麻の向かいに腰掛けつつ、拓麻の母が言う。
「ほら、紗友莉ちゃんが来てくれたよ。昨夜、話しておいたでしょ。拓麻とは、幼稚園から高校までずっと一緒だった子だよ」
紗友莉としては、久々の再会に色々と思うところもあり、なおかつ拓麻の状態に関する懸念もあり、心の中はかなり複雑だったが、拓麻の今のこのリアクションが何より大きな不安を呼び込んでしまう。
今までかつて、拓麻が紗友莉に会った際に、言うまでもなく、こんなリアクションを取ったことはただの一度もない。
つまり、こうして目を見開き、口を大きく開けている、拓麻のこの驚いているかのようなリアクションこそ、拓麻が紗友莉のことも完全に忘れ去ってしまっていることを如実に示しているのだ。
かつての片想い相手からこうしてまじまじと見つめられることは、紗友莉にとって面映いことではあったが、それよりも何よりも、拓麻が自分のこともすっかり忘れてしまったような様子であるということが紗友莉にとっては悲しく寂しかった。
紗友莉に椅子をすすめながら、自らも拓麻の向かいに腰掛けつつ、拓麻の母が言う。
「ほら、紗友莉ちゃんが来てくれたよ。昨夜、話しておいたでしょ。拓麻とは、幼稚園から高校までずっと一緒だった子だよ」

