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私の結婚式前夜
第2章 デート
あん、と言う女の子のため息のような声が自販機の向こうから聞こえて、少しドキッとした。
お兄ちゃんの腕にしがみつく。だけど、地面に置いてあった『○○高等学校』と書かれたスクールバッグを見てまたドキリと胸が鳴った。
「ちっ……近頃の学生はよ……」と、お兄ちゃんがぽろりとボヤいく。
「お兄ちゃん、それオジさん……」
お兄ちゃんは赤い舌を出して、頭を掻いた。
私も声を出して笑った。
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お兄ちゃんの温かい手が私の手をギュッと握る。頼もしくて少しキュンとした。お兄ちゃんのコートの中に手を入れさせてくれた。その中の指が私の指に絡まる。恋人握りというやつだ。また、キュンと胸が鳴いた。
余り経験のない握り方に緊張して固くなる。
「お兄ちゃんの手、暖かい……」
私もしっかりとお兄ちゃんの手を握る。