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この前、近くて遠くて、人を拾いました!?
第1章 支度 (近くて遠い)
要さんに言われてなるほど…!と思った。
確かに光瑠さんの肌は透き通りそうなほど白い。
だから、要さんみたいに黒いスーツなんか着たらそれが際立って不健康に見えそうだ。
グレーでも少し顔色悪く見えるんだし…
光瑠さんの白いスーツにまさかそんな事情があったなんて。
「それにしても真希さん──」
突然手の甲に口付けられてドキリとした。
「はっ、はいっ…」
「以前の…ブラックのドレスも似合っていましたけど、ブルーも中々素敵ですね…」
っ…かっ、顔が近い…!
精悍な顔を近付けられて、クラクラと目が回りそうになっていると、光瑠さんが私と要さんの手首を掴んで強引に離した。
「ブラックのドレスなんかいつ着たんだっ!!!」
叫ばれてドキンっと心臓が跳ねる。
「あぁっ…えっとっ…」
あれは、光瑠さんとの仲がこじれて一時期この家を出ていた時の話だ…(「近くて遠い」第34章参照です!)
どう説明しようか困惑していると、要さんが光瑠さんに掴まれていた手首を振り切って、スーツを正した。
「社長、あなたには関係ありません…あれは真希さんと僕だけの思い出ですから…」
ね?と言いながら、要さんが私に優しい微笑みを向ける。
「…んっとっ……」
なんて言ったら良いか分からず私はただひたすらにあわあわしていることしか出来ない。