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この前、近くて遠くて、人を拾いました!?
第1章 支度 (近くて遠い)

明らかに様子が変わった光瑠を見て真希は微かに震える。



「要さんっ…今光瑠さんに何て…っ」


「真希さん…あの“夜”は本当に楽しかったですよね…」



慌てる真希に構わず要は言葉を続ける。



「このドレスよりもう少しタイトだったかな…? 足にスリットが入っていて、本当に美しかった…」



よく分からないが今すごく良くない状況なのは確かだっ…


酒田は怒鳴ることなくただ唇を強く噛むだけの光瑠を見てこれまで以上の恐怖を覚えた。



「っ…要さんっ…もうこの話は──」


「甘い甘い夜でしたね…」


「かっ、要さんっ!?!?」



夜の絡みを連想させるようなその言葉に光瑠は見開いていた目をさらに見開いて、要を見た。


光瑠が考えているような事は実際、真希と要にはなかった。


だが……そんなこと、光瑠は知らない。


どうしようもなく胸がかき乱されているが、あの頃の事は明らかに光瑠自身に非があるので、その間に起きたことについて、何も言うことは出来ない…。



「お前っ…」



力なく光瑠はそう呟いて真希を見る。



ショックで言葉が続かない…



今の今まで真希は自分しか知らないと思っていたし、関根が真希を抱いたかも、などという悪夢は考えないようにしていたがっ…


あんなにも長い間、俺の手から離れていたのだ…


いくら硬派な関根でも自分と同じ男であることに変わりはない──


抱いていない方が不自然だ……っ




──────甘い甘い夜でしたね…



「っ……」



ついに今それが確信に変わる───



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